県内最古の石橋「三断橋」修復中


修復のための解体作業を点検する整備検討委員会のメンバー

 17世紀中頃に造られた県内最古の石橋、和歌山市和歌浦中の「三断橋(さんだんきょう)」の解体修復工事が進んでいる。台風などで壊れ今まで何度も補修されてきたが、平成22年に指定された国名勝「和歌の浦」の一部、国指定建造物となったため、今回が初めての「文化財」としての修復になる。

 同橋は片男波の干潟に浮かぶ妹背山に渡るため、同山を整備した初代藩主徳川頼宣が造らせた橋。原形は崩れていないものの、石垣にはふくらんだ部分や傾いた部分があり、欄干(らんかん)や敷石、橋脚なども破損したりモルタルで補修されたりしていた。

 このほど、県教委の依頼で昨年から整備方針を検討してきた三断橋整備検討委員会(会長・藤本清二郎和歌山大学教授)が、解体工事開始後初めて現地に集まり、進ちょく状況を確認した。

 現状の石をできるだけ再利用して修復するため、移動する石には一つひとつ記号や番号が付けられており、運び出された石には長さ2・5㍍もある砂岩や、小さなかけらも。

 藤本会長は「文化財修復であると同時に、安全に長く使える橋にしなければならない。地盤近くは触らないが、構造もきちんと調査し記録を残したい。和歌山城や水軒堤防、妹背山の石垣との相違にも注目している」と話している。

 同工事は文化庁の許可を得て行われ、国と県が費用を半分ずつ分担。県文化財センターが担当している。完了は本年度末の予定。

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