毒物カレー事件から15年


事件当日の祭り会場になった空き地

 和歌山市園部の夏祭り会場で4人が犠牲になった毒物カレー事件は25日、発生から丸15年を迎える。地区では、13回忌も過ぎ、自治会などが行ってきた慰霊祭や犠牲者宅への弔問も取りやめられている。遺族や被害者らは、悲劇的なあの日を静かに迎える一方で、いまだに決着しない事件の真相究明を切に願っている。

 事件でカレー鍋にヒ素を入れたとして殺人罪などに問われ、死刑が確定した林真須美死刑囚(51)は、一貫して無罪を主張し再審請求中。裁判の行方は先行きが見えない状態だ。また、林死刑囚の支援団体が今月20日に集会を開き、証拠に問題があったとするなど、無罪を訴える周囲の動きも強まっている。

 事件当日に祭りでヒ素入りカレーを食べたという被害女性(83)は「あれからずっとカレーが食べられない。いまでも足の爪から小麦粉のような異物が出る後遺症に悩んでいる」とし、「なぜ事件が起こったのかが知りたい」といまだに拭えない不安を打ち明けた。
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 事件の翌年から地域一帯の団結を呼び掛け開催されている「元気いさお夏祭り」(有功地区連合自治会主催)は、27日夕方からの祭りで14回目を迎える。祭り当初は犠牲者に対し黙とうをささげていたが、現在では事件にふれることもないという。

 自治会関係者は「風化させてはならないが、そっとしておいてほしいという遺族感情もあり、事件にはふれず『地域の絆』の大切さを呼び掛けている」と話している。

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