創業支援融資が増加 成功の鍵とリスク


「地元ブランドにしたい」と話す木村さん夫妻

 起業・創業を促進し、地域の新たな需要の発掘や雇用の創出を図ることで、地域経済を活性化させようという取り組みが、全国的に広まっている。県内でも新産業を育成しようと、行政による補助金や金融機関による融資制度など各機関が支援策を打ち出している。日本政策金融公庫和歌山支店に融資の現状と新規創業の取り組みを聞いた。

 一般的に創業融資は、返済に向けた計画的な運用が求められる一方、準備段階から創業に向けたさまざまな相談を受けることができる。

 国税庁統計年報では、2012年度の県内の新設法人数は436社。創業支援機関として長年の実績を持つ日本公庫・和歌山支店国民生活事業によると、前年度の新規創業への融資は、和歌山市を中心に83件。うち、無担保・無保証が31件だった。本年度に入り、女性や若い年齢層からもメールでの問い合わせなどが増えてきており、新規創業への融資は6月末現在、前年を上回るペースの34件という。

 夫婦2人で石窯で焼いたピザと自家製デザートをメーンに提供する飲食店「REI CAFE」(海南市大野中)の木村貴行オーナーシェフ(36)は、客の要望を受け、海南市で採れたハチミツを使ったオリジナルの自家製ジェラート「はちみつ塩バニラ」を商品化しようと夫婦で発案。量産に向けて、ことし6月に同公庫の融資を受けた。

 融資金額は、設備資金や運転資金を合わせて500万円。7年間で返済する計画という。現在、産直市場や宿泊施設などでも販売。県外へと販路を広げることも検討している。木村さんは「融資を受けることは返済の確約がないだけに怖い。でも、海南市の特産品として、全国の人に広めたいという思いがある」と、夫婦で夢への一歩を踏み出した理由を話す。

 同支店は、「融資は足りない資金を賄うためのもので、借り入れに依存すると返済できなくなることもある。技術や経験のある人は失敗しないケースも多い」と自己資金と経験の重要性を指摘。業種によって立地条件、販売方法なども重要な鍵になるとする。

 新事業を起こす効果については、「事業がうまくいけば正規雇用も増え、地元での雇用が増えれば若者などが県外へ流出することもなくなるだろう。それが県内活性化につながることになる」と話している。

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