ジビエ肉を格付け 和歌山県が全国初


イノシシ肉の格付け。上からA、B、C(県提供)

 鳥獣害対策で捕獲した県産のイノシシ肉とシカ肉「わかやまジビエ」の流通を拡大するため、県は7日、食肉処理施設の衛生管理認証制度と肉質を格付けする等級制度を全国の都道府県で初めて開始した。安全性と高品質を制度で確保することにより、現在は県内の捕獲頭数の3%程度にとどまっている食肉処理の率を高め、消費を促す。

 仁坂吉伸知事が同日の定例会見で発表した。県によると、処理施設の衛生管理認証制度は、食品衛生法に基づく許可を受けた県内の獣肉処理業者が対象。県が平成21年から設けている「わかやまジビエ衛生管理ガイドライン」の順守と、捕獲日時や方法、処理日時、場所などの個体情報を管理するトレーサビリティシステムの導入、施設の衛生面などに関する県食品衛生管理認定制度の自主管理レベル1をクリアしていることなどを基準に、県の認証会議が審査する。

 認証期間は3年で、県は年1回の定期監査や立入検査により基準が保たれているかを確認する。

 肉質等級制度は、皮下脂肪の厚さや肉の締まり・きめ、色・光沢などを基準に、イノシシ肉はA~Cの3ランク、シカ肉はAとBの2ランクに格付けする。肉はロース、モモ、バラの少なくとも3部位に分け、判定はロースで行う。イノシシ肉のAランクの場合、皮下脂肪は厚さ10㍉以上、締まりがよく、肉色が鮮明で光沢が良いことなどが条件となる。

 格付けは認定格付員が行い、獣肉解体の経験者を対象に、県が実施する講習会の受講を経て認定される。県は毎年、定期監査や立入検査を行い、格付員の資格を確認する。

 県内には現在、獣肉処理業者が17施設あり、県は規模が大きい3施設について、本年度中にも衛生管理認証と格付員の資格取得を促し、制度の実質的な稼働を目指している。

 24年度中に県内で捕獲されたイノシシは約1万4000頭、シカは約9400頭だが、このうち県内施設で食肉処理されたのは約3%に当たるイノシシ440頭、シカ217頭にとどまっている。全国的にも同様の水準にあり、県は5%程度には引き上げたいとしている。

 仁坂知事は「品質への安心がないと流通は進まない。制度によってそこをテコ入れしたい。いずれは学校給食などに使ってもらってもいいのではないかと思っている」と話した。

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