梅の調味廃液と鶏ふんの堆肥 4月から販売


 

 県畜産試験場養鶏研究所(日高川町)などは、悪臭のため利用に悩む鶏ふんに、産業廃棄物とされる梅調味廃液を噴霧して発酵させた堆肥を開発し、4月から商品名「ふっかふか」として販売を始める。堆肥の製造過程で臭いの元となるアンモニアの揮散量が5~7割低減することを実証。堆肥は土壌改良効果もあり、環境に優しい循環型農業のモデルケースとしての期待が高まる。

 梅干しの製造過程に出る梅調味廃液は県内で年間1万8千㌧。うち年間1万㌧が産業廃棄物として処分されている。一方、鶏ふんはブロイラー(食肉用)で年間1・4万㌧出る。化学肥料が普及するとともに、堆肥としての需要が減り、鶏ふんの利用促進が畜産農家の抱える課題となっている。

 養鶏研究所、県農業試験場(紀の川市)、県果樹試験場うめ研究所(みなべ町)、県畜産試験場(すさみ町)の4機関は、梅調味廃液に含まれるクエン酸と鶏ふんに含まれるアンモニアが中和して、鶏ふんの臭いを抑える効果に着目し、平成22年度から基礎実験を進めてきた。

 25年度からは養鶏研究所とうめ研究所の2機関が実用化に向けて、JAみなべいなみの梅加工場で出た梅調味廃液と、養鶏業者や梅干し業者らでつくる「紀州うめどり・うめたまご協議会」の鶏ふんを使って堆肥の開発に取り組んできた。

 堆肥は、梅や葉物野菜に適しているという。販売はJAみなべいなみが行い、1袋(40㍑)で300円程度。

 県畜産試験場養鶏研究所では、「使える資源を戻す。鶏ふんには全国的にも困っている。農業と畜産が連携していかなければならない。広く知ってもらうことで、循環型農業の一つのモデルとなれば」と話している。
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 紀陽銀行吉備支店が6次産業化を支援した。福元秀峰支店長は「地元の畜産・農業の活性化に向けて手助けしていければ」としている。