モモをビールの原料に 八旗農園

工場でできたピューレがビールに生まれ変わる
工場でできたピューレがビールに生まれ変わる

 モモの収穫が最盛期を迎えている紀の川市桃山町の㈱八旗農園(山嵜芳雄代表)で規格外のモモを加工したピューレの製造が始まった。ピューレは同社の直売所でスムージーにして販売している他、大阪府箕面市の地ビール会社、箕面ビールの限定商品「国産桃ヴァイツェン」に使用され、フルーティーでさわやかな香りのビールが造られる。

 八旗農園は農家など4者で運営。高糖度でみずみずしいモモを栽培しようと、稲のもみ殻を原料に手作りした堆肥を土にすき込み、養分の吸収や保湿性を高めるなど土づくりからこだわっている。約4㌶の農園では6月中旬から8月中旬にかけて、6品種のモモを年間約100㌧収穫。規格外は全体の約5%を占めるという。

 加工品への取り組みのきっかけは4年前。知り合いを通じて箕面ビールの前社長が「あら川のモモを使ってビールを造りたい」と訪ねてきた。それまで商品にできず、捨てていた規格外のモモの皮を一つひとつ手作業でむき、裏ごし機にかけてピューレ状にする。鮮度を保ち、素材の味を生かすため、冷凍後に真空パックで出荷する。

 「国産桃ヴァイツェン」はほんのりモモとヴァイツェン酵母のフルーティーな香りがし、口に含むとモモの風味がふわっと広がる。1年目は150㌔の出荷だったが、人気が高まり、今では500㌔まで増えている。ことしも秋には市場にお目見えする。

 同社は、国の6次産業化の認定を申請しており、今後はジュースやジャムなどの加工品にも取り組むとしている。中浴泉さん(56)は「脱サラして農家になり、地元の人に応援してもらってここまできた。次は農業の楽しさを若い世代に伝え、若い農家を育てることにも力を注いでいきたい」と話している。

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