再発防止へ 施工不良の八郎山トンネル
和歌山県発注の県道長井古座線「八郎山トンネル」(那智勝浦町―串本町、711㍍)で大規模な施工不良が発覚した問題で県は20日、県が工事の段階確認を必要な回数行っていなかった不備について、県土整備部長ら同部と新宮建設部で管理監督責任があった6人を文書による厳重注意としたことなど、対応の現状を発表した。処分は13日付。
同トンネルは内壁の約8割に厚さ不足や空洞があり、金属の支柱が正しい位置からずれていることなどが分かり、施工した淺川組(和歌山市)と堀組(田辺市)の共同企業体がデータを偽装して県に報告していたことも判明。掘削以外の全工程をやり直すことが決まっている。
工事の段階確認について県は、必要な136回中6回しか行っておらず、不備を防ぐ適切な指導体制になっていなかったとして、6人を厳重注意とした。
岸本周平知事は、県土整備部の業務量が過大になっていたことも背景にあるとの見方を示し、「言い訳にはならないが、職員がかなりきつい業務運営をする中でゆとりがなく、組織の中でいろんな確認をし合うこともできなかったのではないかと反省している」と述べた。
トンネル工事のやり直しには約2年かかる見通し。昨年12月から履工コンクリートの撤去作業を始め、現在約5割の撤去が完了している。
再発防止に向けた対応では、段階確認について工事着手前に施工業者と打ち合わせをし、担当課長などが決裁して確実に行われるようにする体制強化の他、職員の技術力向上に向け、注意点マニュアルを作成し、現場研修の定期開催を開始するなどしている。
粗雑工事などによる入札参加資格停止処分については、要綱を改定し、現状は最長で3カ月(悪質な場合の2倍加算を含めて6カ月)のところ、「社会的な影響が大きい場合」には6カ月(同1年)とする項目を追加し、4月1日から施行する。入札制度の見直しも行い、トンネルや長大橋について、工事の品質確保に必要となる管理体制を評価する「施工体制確認型総合評価落札方式」を6月1日から導入する。
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