大災害と精神面のケア学ぶ 専門からシンポ
災害で被災した人の精神面のケアについて考える「災害メンタルヘルスシンポジウム」(NPO法人心のSOSサポートネット主催)が23日、和歌山市小松原通の県民文化会館で開かれ、約120人が耳を傾けた。
同NPOの東睦広理事長を中心に、ラジオ局経営者や臨床心理士、精神保健福祉士らがそれぞれの活動について報告した後、日赤和歌山医療センターの中大輔医療社会事業部長、筑波大学医学医療系災害精神支援学の高橋祥友教授による講演が行われた。
臨床心理士の木下忠恭さんは、東日本大震災で被災した岩手県の小学校を長期にわたって調査した経験から「被災の大きさと心の傷の大きさが異なるケースは多い」と強調し、同NPOの厚坊浩史副理事長は16歳の時に神戸で阪神大震災に遭い、被災した経験から「被災者は生きているだけでエネルギーを激しく消耗する。さまざまな方から頂いた有形無形の支援は本当にありがたかった」と話した。
中部長は熊本地震の被災地での救護活動を振り返り、医療者やボランティアの親切心が被災者に大きなストレスを与えていることを指摘。今後30年以内に70%の確率で発生が予想される南海トラフ巨大地震に備え「災害時の指揮命令系統を事前に確立しておくことが重要。地元の保健師、開業医の皆さんにも協力をお願いし、官民を超えた協力体制を築くことに力を入れるべき」と述べた。
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