熊楠生家の世界一統蔵開き 生誕150周年
世界的な博物学者・南方熊楠の生家である世界一統(和歌山市湊紺屋町、南方康治社長)で20日、恒例の蔵開きが行われ、詰め掛けた大勢のファンが熊楠ゆかりの新酒を堪能した。
世界一統は熊楠の父・南方弥右衛門が1884年に創業。ことしの蔵開きは熊楠の生誕150年記念を兼ねて催され、訪れた人は試飲コーナーで清酒「南方」や和リキュール「和歌のめぐみ」などを飲み比べ。酒蔵の見学もにぎわった。
「熊楠を語る」をテーマに、同市学芸員の武内善信さんと、熊楠の弟・常楠のやしゃごに当たる、六代目蔵元の南方雅博さんによるトークイベントもあった。雅博さんは「南方熊楠と酒」と題し、さまざまな逸話を紹介し、熊楠がヘビースモーカーで大酒飲みであったこと、弟の常楠に資金の援助を頼んだが断られ、機嫌悪く背を向ける熊楠に、曽祖母が背後から杯をついだエピソードを披露。熊楠が現在もなお人々に愛される理由として「偉大な功績に合わせて、親しみやすさや人間的な魅力があるのでは」と話した。
武内さんは、熊楠が友人宅で借りたり、覚えて書き写したりした東洋の百科事典『和漢三才図会』にふれ、「田舎には、そうあるものでなく、これが身近にある環境は特別」と言及。熊楠が受けた教育について語り「藩校で教えていたような超一流の人に漢文を教わり、紀州藩のお抱え絵師に絵を習うなど、城下町の和歌山市で生まれ育ったことの意味は大きい」と話した。
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