移動スーパー「わかヤン」運行4台に拡大

 買い物に不便を感じている高齢者などのために、軽トラックで生鮮食品や生活必需品を販売する移動スーパー「わかヤン」(和歌山市中、㈱わかヤン本舗運営)が業務を拡大している。平成27年6月に創業し、2台が同市北部を中心に運行してきたが、7月28日から3・4号車が増車され、同市南部にも運行地域を広げた。

 同社は平成28年9月、県経済をリードする企業へと成長する可能性を県が認める「認定創業者」に認定され、県の創業支援事業の一環で28年度に行われたマッチングイベントのファイナリストとなった。今回の事業拡大は、きのくに信用金庫からの融資を受けて実現した。

 車体に明るく親しみやすい絵柄が描かれた「わかヤン」のトラックは、冷蔵機能を備え、提携している㈱スーパーサンワ(本部=同市和田)から供給される商品や地元の生産者からの食品、米、飲料など約300品目を週に2回、決まった日時と場所で販売している。事業拡大にあたり「笑顔も幸せも一緒にお届け」と歌うテーマ曲も作成された。

 販売と同時に、買い物客の見守りや安否確認も行っているのが同事業の特徴の一つで、トラックの運転手は全員、介護の資格を取得している。同社では、販売員をセールスとヘルパーを合わせた「セルパー」の名前で呼び、「介護の知識があるので、高齢の方への配慮が行き届く」と井上和彦社長(59)は話す。

 増車した3・4号車の出発式が同日、スーパーサンワ舟津店(同市湊御殿)前で行われ、井上社長は「和歌山市北部で500人以上の利用があった。南部でも、地域の皆さんの役に立てるよう努力し、事業の全国展開を目指したい」と意欲を示した。

 スーパーサンワの和田訓昌専務(31)は、約1カ月前「わかヤン号」に同乗して移動販売を視察。「トラックにトラブルが起きた時には地域住民の方が助けてくれ、とても温かい関わりができていた」などと活動状況を紹介した。

 井上社長が学んだ創業スクールを主宰する中小企業診断士の岡京子さんは「井上さんと同期で学んだ方たちが応援に来ています。日本中をわかヤン号が走る日を夢見ています」と激励した。

出発式でテープカットを行う井上社長(左から3人目)ら

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