味わい深い根来塗 12日まで近鉄で展覧会

2019年度、文化庁の長官表彰を受けた根来塗曙山会宗家、池ノ上辰山さんと直弟子による展覧会が12日まで、和歌山県和歌山市友田町の近鉄百貨店和歌山店5階画廊で開かれている。

辰山さん(元・曙山)は1987年に根来塗の権威者で元文化庁文化保護審議会専門委員の故・河田貞氏に師事。「中世の幻」とされる堅牢な技法を復興しようと415年の時を超え、2000年、覚鑁(かくばん)上人の命日に当時の曙山さんが根来寺の許を受けて宗家となり再興した。

展覧会のテーマは「角切折敷の諸種―辰山と直弟子たち―」。熱に強く、角切折敷や椀、皿など500点が展示販売されている。

21年間使用した箸や6年間使った眉間寺椀などもあり、根来塗の奥深さをうかがい知ることができる。使うごとに光沢が出てすれ傷も味わいに。辰山さんは「ジーンズのように色あせてもそれがかっこいい」と来場客に伝えていた。

箸を購入した和歌山市の茅野隆一さん(65)は「使っていた箸がはげたのでここに来たらいいものがあった。長く使えば味わいが増すと聞いたので楽しみです」と笑顔。

辰山さんは「中世の技法をそのまま復興させた。当時と同じように変化を楽しむことができるのが私の作った根来塗だと思う」と話した。

午前10時~午後7時(最終日は4時)。

 

来場者に説明する辰山さん㊧

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