2011年03月15日

05.紀の川・岩出・海南・紀美野/06.特集/私達にできること―和歌山から東日本へ―

防波堤の早期完成を、大規模な被害想定される海南市

東日本大震災で、 大津波警報に伴い避難指示が発令された海南市は、 被災地への支援体制や余震への備えを強めていく姿勢だ。 特に今後30年以内に非常に高い確率で発生するとされる 「東南海・南海地震」 をより身近な危険としてとらえ、 和歌山下津港の 「浮上式防波堤」 の早期完成を国へ要望していくとともに、 17日に閉会する市議会で意見を仰いでいく。

下津港で早期完成に向けて事業が進められている 「浮上式防波堤」 は、 津波を防ぐため、 常時は海底に格納、 有時に上部鋼管が浮上して津波被害を防ぐ世界初の技術を取り入れた事業だ。 総事業費は約250億円。 平成31年の完成を見込む。 同市の臨海部は市役所、 消防署、 警察署、 石油コンビナート、 製鉄所など行政や産業機関が集中する重要区。 「東南海・南海地震」 が起これば、 地震により約6メートルの津波が押し寄せ、約8000棟の建物が全壊、被災率は約8割、被害想定額は約5000億円とされ、県内最大規模の被害となる。これはマグニチュード「8・6」を想定したもので、今回のような「9・0」は想定しておらず、市としては「想定外の想定の必要性」 に頭を悩ませる。

また、 ソフト面でも課題が見えた。 今回の大津波警報による 「避難指示」 では、 沿岸部など約8500世帯、 約2万人が対象となった。 しかし、 ピーク時 (午後7時半ごろ) で8カ所合わせて約220人が避難するにとどまり、 防災意識の低さがうかがえた。 今後は意識向上のため、 沿岸部の住民へハザードマップの再配布と熟知を行い、 避難路や避難場所の周知徹底を図っていく。 また、 市役所が大津波で流されないように強靱(きょうじん) な庁舎への建て替えも検討していくという。

市は14日、 水道部まちづくり部から給水車と2人、支援車と2人を福島県郡山市へ派遣する出発式を実施。11日には、消防本部からポンプ車と5人を宮城県石巻市へ派遣している。 また、 15日から社会福祉協議会、社会福祉課を窓口に日赤を通じた義援金等の支援を受け付けている。

神出政巳市長は「当面は支援の対応に当たり、余震への備えを強化する。市民の防災意識を再度徹底させ、ハードソフト対策、短長期の取り組みに分けて検討し、施策実施の優先順位を上げ、防災や減災対策を推進していきたい」としている。





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