鋼管設置作業を公開 海南の可動式防波堤
ゆっくりと鋼管が沈んでいった
海南市船尾の和歌山下津港で行われている世界初の可動式防波堤の設置作業が6日、報道関係者に公開された。鋼管を1800㌧の大型作業船でつり上げ、振動を加える装置で力をかけながら、ゆっくりと海底に沈めていった。今後試験的に鋼管3本を設置し、実証実験の後、本格的な設置工事に着手する。
工事は、付近に鉄鋼、電力、石油精製などの工場が集積していることなどから国が進めている津波対策事業。約2㌔の海岸を高さ約7㍍の防波堤で津波から守る。工期は平成21~31年度で総事業費250億円。
防波堤の可動部分は長さ230㍍。直径約3㍍、長さ13・5㍍、厚さ最大45㌢の鋼管と、それより径がやや小さい鋼管を2重にしたものを計78本、横に並べる形で海底に設置。津波発生時、各鋼管の中の1本が空気圧で浮上し、海上7・5㍍まで突き出る。
市では平成15年度の予想で、東海・東南海・南海の3連動地震での津波発生の際、6・6㍍前後の津波がまちを襲い、約8000軒の家屋が倒壊、約5000億円の被害が出ると想定されている。
近畿地方整備局の工事担当者は「南海トラフ巨大地震の際の津波の高さ想定も見直されたが、完成すれば必ず減災につながる」と話している。
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