西庄の柿原さん新作家賞 新制作展


受賞作品「港の休日」

柿原さん

和歌山市西庄の洋画家、柿原康伸さん(76)の作品「港の休日」が、東京の国立新美術館で開かれていた「第77回新制作展」で「新作家賞」を受賞した。昨年の「絵画部賞」に続く受賞。厳選で知られる同展での高い評価に、柿原さんは「30年かけてやっと、この賞にたどり着けた。描ける限り、さらに上を目指して描き続けたい」と意欲を燃やしている。

新制作展は、新制作協会が主催する公募展。絵画部と彫刻部、スペースデザイン部の3部門ある。最高賞の「新制作協会賞」の絵画部受賞者は、ここ約40年間で出ておらず、それに次ぐ新作家賞は実質のトップともいえる賞だという。

絵画部への応募は1038点あり、入選は300点。入賞は新作家賞7人、絵画部賞4人、損保ジャパン賞1人のみということからも、厳しい審査ぶりがうかがえる。

柿原さんは新制作協会協友、日本美術家連盟会員、県美術家協会会員。昭和49年に大阪市立美術館付設美術研究所に入り、51年第40回新制作展に初出品で初入選。途中、病気のために8年間休んだが、新制作展への入選は26回にもおよぶ。

今回は3点を出品し、2点が入選。同展事務局によると、2点の入賞者は同賞受賞者のうち3人のみ。全体でも10人ほどという。

受賞作「港の休日」は230㌢四方の大作で、昨年の受賞作と同じ対象物とテーマで描いた。工業地帯に停泊する大きな船の周りを、数十羽の白い鳥が伸び伸びと遊ぶ風景を描いたもの。

灰色の印象が強かった昨年よりも青みを加え、鳥の数を増やしてリズムを持たせた。球体の一部に英字を描くなど、ポップな要素も。特にさびた船と水面の境界の色の表現に力を注ぎ「2、30回は描き直した」という。柿原さんは「この賞を取れるかどうかかが勝負だった。大作を描くにはエネルギーがいるが、こつこつと頑張っていきたい」と話している。

新制作の京都巡回展が19日から29日まで京都市美術館で開かれ、柿原さんの作品も展示される。

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