住民に代わり提訴可能に 和歌山県暴追センター


暴力団排除推進の期待がかかる暴追センター

 (公財)県暴力追放県民センター(香山正人理事長)が、住民らに代わって暴力団事務所を相手取り提訴できる「適格団体」に、国家公安委員会から認定された。付近に暴力団事務所があり不安を抱く住民からの要望があれば、センターが前面に立って立ち退き訴訟を起こせるようになった。

 認定条件には、業務の適性体制や専門的知識経験を有する弁護士の配置、財源の確保が必要。同センターは和歌山弁護士会から推薦を受けた2人の弁護士を専門員として委嘱(予定)するとともに、約1000万円の財源を確保した。訴訟費用は同センターがいったん負担し、訴訟後に全てか一部の返還を住民から受ける。

 同制度は昨年1月、改正暴力団対策法に基づき運用しているもので、これまでに24都府県のセンターが認定を受けていた。今回、和歌山など新たに10県のセンターが認定された。

 過去にも全国的に抗争などが発生すれば周辺住民が平穏に暮らせないなどと暴力団事務所の立ち退きを望む声もあったが、報復などを恐れて住民が提訴に踏み切れないケースがあったという。先月には、制度を利用し、広島市のマンション住民らが、同じマンションの一室を使用する暴力団事務所に使用差し止めを求めた初の代理訴訟が広島地裁で起こされている。

 県警組織犯罪対策課によると、昨年末に県内で確認されている暴力団は13組織で、290人の構成員が活動している。同課は「センターと連携して情報を集め、暴力団事務所周辺住民が不安を抱いていることを認知すれば、センターが提訴し立ち退きを求めたい」と話している。

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