写歴50年、坂田稔さん米寿展 12日~県文

愛用のカメラを手に坂田さん
愛用のカメラを手に坂田さん

 和歌山市石橋丁の写真家、坂田稔さん(87)は写歴50年と米寿を記念し、12日から17日まで、同市の県民文化会館大展示室で「煌(きら)めく紀州海岸美」をテーマに写真展を開く。135点の全展示作品は会期後、市内の介護施設に寄贈される予定で、坂田さんは「ふるさとの美しさをもう一度見つめ直し、皆さまの安らぎと心の癒やしの一助になれば」と話している。

 坂田さんは、全日本写真連盟総本部顧問、県美術家協会監事などを務める。36歳で、写真家の故・亀忠男さんが創設した葵フォトクラブに入会。全日本写真展や国際写真サロンに数多く入賞・入選するなど高く評価されている。

 これまで働く人の姿に焦点を当て、フィルム写真で人間性の追求をライフワークに活動。80歳の傘寿の記念には「富嶽八十景」を発表した坂田さんだが「この歳になって何をご恩返しできるかと考えたとき、浮かんだのは、やはり和歌山の素晴らしい自然風景でした」とにこやかに話す。

 出品するのは、紀州の海岸美に魅せられ85歳頃から撮りためた風景写真。撮影地は加太や和歌浦、白浜、串本、遠くは三重の鬼ヶ城まで。

 空一面が赤く染まった円月島や、橋杭岩と拝み岩の間に太陽が顔を出した瞬間など、どれもため息が出るような絶景。

 「澄んだ空気の中、素晴らしい風景を見ていると、生かされているのを感じましたね」と坂田さん。写真を通じた一期一会には、数え切れないドラマや感動があり、感じ取った土地ごとの風土や人の温かさをも写真に納めてきた。

 最近は両足の膝関節の手術に加え、アクリル板の貼り付け作業による肩の使い過ぎで、カメラを構えるのもやっとという状況もあったという。そんな中「何としても紀州の素晴らしい風景を後世に残したいとの一心で、老体にむちを打って撮影しました」と話している。また主な22点も大型作品にし、国体開催に向け和歌山の観光に役立ててもらえればと願っている。

 午前10時から午後5時(最終日は2時まで)。

 

「黎明」(串本 橋杭岩)

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