紀州金山寺味噌を登録 地理的表示保護で
農林水産省が国内各地の伝統ある農林水産物や食品の名称を知的財産として保護する「地理的表示(GI)保護制度」に、「紀州金山寺味噌」が登録された。県内からの登録は初で、みその登録も他に例がないため、ブランド価値が向上し、知名度上昇や消費拡大に期待が高まっている。
同制度は平成27年6月から施行され、これまでに「夕張メロン」や「神戸ビーフ」などが登録されている。「紀州金山寺味噌」の登録は全国39番目で、県食品流通課によると、すでに登録された産地では、模倣品の流通防止に効果があったという。
「紀州金山寺味噌」は野菜が多く入った醸造のなめ味噌で、大豆、裸麦、米をこうじにし、ウリ、ナス、ショウガ、シソを使用して熟成醸造させる。米を使用するのは他に例がなく、柔らかい食感が特徴。鎌倉時代に中国から持ち帰られたみその製法が起源とされる説が有力で、由良町興国寺の僧・覚心が保存食として広めたとされる。
みそ製造業者で構成される紀州味噌工業協同組合は、昨年4月に同省へ登録を申請。申請された産品を公開し国民から意見を募る公示手続きや同省職員による現地調査、有識者の審査を経て、10日に登録が決まった。
同組合の久保公一理事長は、登録決定の知らせに「ブランドの向上につながる。全国の皆さんに金山寺味噌を知ってもらいたい」とPR効果に期待を示し、「知的財産となり、生産者の保護につながるのでは」と話している。
久保理事長によると、同会は保護制度の導入を見越して26年5月ごろから準備を進めてきたといい、長期間の取り組みが実を結んだ形となった。登録により、商品には「GIマーク」が表示される。県は他にも複数の県産品の登録を目指しており「マークの表示によりブランド価値が高まるのではないか」と話す。
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