地域の偉人知って 海南で田道間守の舞台

和歌山県海南市の歴史にまつわる田道間守(たぢまもり)をテーマにした舞台「橘とお菓子の物語」が11月27日正午から、市民交流センター「ふれあいホール」で上演される。同市且来の劇団紀州(㈱すわん江戸村、河村海人代表)が主催。

田道間守は、ミカンの原種で菓子の起源とされる「橘」を持ち帰り、同市下津町の「六本樹の丘」に植えたとされ、ミカンとお菓子の神様として同町の橘本神社に祭られている。

昨年、田道間守が死去してから1950年がたつのを記念し、同劇団が「田道間守公1950年式年大祭記念公演」として、芸道場すわん江戸村で同舞台を上演。好評だったことに加えて「一人でも多くの県民に田道間守の存在を知ってもらいたい」との思いをより強くしたことで、約600人を収容できる同ホールでのリバイバル公演が決まった。

物語は、田道間守が垂仁天皇から「不老長寿の不思議な果実を探せ」という無理難題を押し付けられ、船に乗って命懸けで大陸へ渡るという冒険もの。子どもにも分かりやすいように同劇団の市川昇次郎さんが現代風にアレンジし、お菓子の神様として愛される田道間守と、彼を取り巻く人々の数奇な人生を楽しく描いた古代ロマン・コメディに仕立てた。

せりふには「ええわいしょ」などの和歌山弁やジョークを交え、親しみやすさや面白さにこだわったという。劇中には、同市観光協会が「お菓子の街」としてPRするために制作したテーマ曲「しあわせの味」の披露もある。作詞・作曲を担当した音楽ユニット「あやこと」の2人が歌い、県内の子どもらがダンスで参加する。

二部の舞踊歌謡ショーでは、尺八奏者の辻本好美さんや、演歌歌手の松阪ゆうきさんがゲスト出演するなど、文化・芸術を堪能できる公演となっている。

同芸道場で19日、記者会見が開かれ、市川さんや出演者と同神社の前山和範宮司が出席。作品への思いを語った。同市出身の市川さんは、コロナ禍で県外での公演が全て中止となったことがきっかけで地元に伝わる伝承や偉人を舞台化するようになったとし、「こんなすごい人がいるのにほとんど知られていないので、演劇を見て一人でも多くの人に知ってもらいたい」と願う。

田道間守の役を演じる同劇団の市川昇(しょう)さんは「大人だけでなく子どもにも見てもらって、演劇に興味を持ってもらえたら」と話し、前山宮司は「神社としても光栄。私もワクワクしている」と期待を込めた。

チケットはS席6600円、A席5500円、B席4400円。小学生未満無料。すわん江戸村で取り扱っている。

チケットの購入や問い合わせは同所(℡073・482・5758)、メール(gekidankisyu@suwan-edomura.com)。

前山宮司(右から2人目)と劇団紀州の皆さん

前山宮司(右から2人目)と劇団紀州の皆さん

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