避難所で温かい食事を 県と調理師会ら協定

南海トラフ地震などの大規模災害が発生した際に、避難所で温かい食事を円滑に提供できる体制を整えるため、和歌山県は24日、県調理師会(味村正弘会長)、県中小企業団体中央会(玉置篤会長)、日本調理師会(前田洋三会長)の3団体と協力する協定を締結した。都道府県の調理師会と自治体による同様の協定は香川、石川両県に次いで3番目、全国組織の日本調理師会が参加し、広域支援を盛り込んだものでは初めてとなった。

協定のきっかけは10年前の紀伊半島豪雨災害。海南市出身の前田会長は、被災地の県調理師会新宮支部に必要な物資を問い合わせ、届けようとしたが、個人の車に積み込んでいたため、規制された道路を通行できなかったという。この時の悔しさから、調理師会が各都道府県と協定を結び、支援体制を構築する活動を展開している。

今回の協定は、県内で災害救助法が適用される大規模災害が発生した場合、県の要請に基づき、県中小企業団体中央会が食材の調達や配送などを担い、県調理師会が会員を避難所に派遣して温かい食事を調理するもの。日本調理師会は、県内だけでは会員が不足する場合、近隣府県を中心に広域的に派遣の人員を調整する。

味村会長は「もし大災害が起こっても、被災した人たちに温かい食事を食べてもらいたい」と協定に込めた思いを話す。前田会長は、避難所で食中毒が発生した事例にもふれ、有資格者である調理師を派遣することで、避難所での「食の安全」を守る意義も強調する。

玉置会長は、県中小企業団体中央会に加盟する多様な業種が災害時に貢献できるとし、「中央会が持っている組織力を生かすことができ、非常に意義のある協定になった」と話している。

協定締結式は県庁知事室で行われ、3団体の会長と仁坂吉伸知事が協定書に署名。仁坂知事は3団体の協力に感謝し、協定による効果に期待を示した。

 

協定書を手に(左から)玉置会長、仁坂知事、味村会長、前田会長