作品に“突っ込む”展覧会 近代美術館で

県立近代美術館(和歌山市吹上)の展覧会「つぶやき おはなし ものがたり」が8月30日まで、同館で開かれている。作品を見て感じた〝つぶやき〟を大切に、自由に想像を膨らませながら、それぞれの物語を紡いでもらう展覧会。絵画や版画、写真や立体など約70点を展示。子どもも大人も楽しめるワークシートを手に、来場者はさまざまな角度から美術作品を楽しんでいる。

夏休みに、子どもも大人も一緒になって、さまざまな美術の面白さにふれてもらおうと企画した「なつやすみの美術館」シリーズの第5弾。

同展覧会の出発点は、中西夏之さんの「コンパクト・オブジェ(卵)」という作品。透明な卵型の中に、コードやネジなどさまざまなものが詰まった作品で、子どもたちの多くが口にした「タイムカプセルみたい」という言葉をヒントに、新たな物語を作り出してもらおうと試みた。

同展では、この中に詰まった靴や時計、鏡や傘などに関連した美術作品や、卵に発想を得た作品を紹介。鑑賞の手掛かりの一つとして、楽しいフレーズの「美術館のつぶやき」も添えられている。

25日には同館の浜田拓志副館長(59)によるミュージアムトーク(展示解説)があった。浜田副館長は、この作品が開館から21年間の中で14回展示され、多くの人の興味を引く作品であることを話した。

4つの大きな卵型の中に、黒一色で魚や鳥など無数の動物を描いた作品の前では「これを見て『世紀末や』と言った小学生がいた」と紹介。浜田副館長は「まだまだ気付かないことが画面の中にはいっぱいある。単に美術館で解説を聞くのとは違い、皆さんがつぶやく展覧会。ぜひ作品に〝突っ込み〟を入れて、感じたことを表現してください」と呼び掛けた。

小学2年生の頃に同館で見た中西さんの作品が印象的だったという同市向の保育士、河本乃亜さん(21)は「あの作品は衝撃でした。見せ方が変わると、新しい発見があって楽しい。本やテレビで見るのと違い、間近で作品にふれられるので美術館は大好きです」と話していた。

ミュージアムトークは8月2日も開催。こどもギャラリートークは8月9日、16日、30日のいずれも午後2時から。「家族でお出かけ節電キャンペーン」として、8月28日までの平日は入館料が半額になる。問い合わせは同館(℡073・436・8690)。

卵型の作品を紹介する浜田副館長(右奥)

卵型の作品を紹介する浜田副館長(右奥)

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