安楽死は認めるべきか 向陽高で討論発表

向陽高校(和歌山市太田、前田成穂校長)で9日、「ディベート(討論)学習成果発表会」が開かれ、環境科学科3年生で「SS探究科学Ⅲ」を選択する生徒ら16人が「日本は、積極的安楽死を認めるべきである。是か非か。」をテーマに、肯定側・否定側に分かれて意見を交わした。

理論的な思考を身に付けるため毎年行われており、ことしは積極的安楽死の他、IR誘致や、ゲノム編集を含む遺伝子治療の積極的導入の是非を問う三つのテーマを掲げ、それぞれのチームが4月から発表会に向け準備を進めてきた。

この日、同校の普通科文系の2年生93人が審判役で参加。3年生30人も別室から中継でつながり、審判役を務めた。

審判役が見守る中、肯定側の生徒は「医療体制のひっ迫の解消」と「個人の意見の尊重・選択の自由」をメリットとして説明。否定側は「殺人との区別がつかない」といったデメリットの他、アメリカで大麻が合法化されたことにより大麻の使用率が上がったことを例に挙げ、「合法化は大麻に対する考え方を変えた」と指摘し、「積極的安楽死を認める法律ができれば、殺人に対する倫理観に影響を与える」などと伝えた。

作戦タイムを挟みながら相互討論や最終弁論を行い、肯定側は指摘されたデメリットに対し、「死刑制度のある日本での殺人数は少なく、積極的安楽死を認めても殺人に対する倫理観に悪影響するとは考えにくい」などと反論。審判役の生徒らによる挙手で判定した結果、肯定側が38人、否定側が36人で、肯定側がわずかに上回った。

肯定側で参加した浅見菜月さん(17)は「もっと反論に対する答えを用意しとけば良かった」と振り返り、否定側の竹本愛望(まなみ)さん(17)は「相手の意見をよく聞いて、素早く自分の中で整理して考える力は社会人になっても会議などで活用できるはず」と話した。

同校の坂本修一教諭は「一生懸命に取り組んだ生徒らの頑張りが伝わるディベートになっていた」と笑顔で講評した。

熱いディベートを繰り広げる生徒ら

熱いディベートを繰り広げる生徒ら

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