立体涅槃群像 了法寺で年に1度の公開

和歌山市坂田の日正山了法寺(小林慈享住職)で15日、釈迦の入寂をしのぶ「涅槃会」が行われ、年に1度の釈迦堂と立体涅槃(ねはん)群像の開帳があった。

同寺は紀州徳川家初代藩主・徳川頼宣の義兄にあたり、同家の家老を務めた三浦為春が1623年に紀の川市貴志川町上野山に建立し、50年に現在の場所に移された。以降、「坂田のお釈迦さん」として親しまれている。

像高162㌢の釈迦如来像は、北を頭にして西を向き横になっている。江戸時代の1644年に三浦為春を願主、奥津半左衛門正盛を奉行として仏師、龍慶により制作されたと同寺文化財調査報告に銘記されている。

立体涅槃像は、釈迦の入寂の様子を描いた涅槃図を仏像群で表現したもの。全国で二つの寺しか所有していないといわれ、制作時期や願主など判明しているものは史料価値が高く珍しいという。

また、涅槃図は絵図曼荼羅で表現されることが多く、仏像群によるものは希少価値が高いとされる。涅槃像の上には竜が描かれ、堂を囲うように約千体の木造釈迦像が安置されている。

この日、境内の釈迦堂で小林住職が般若心経を唱え、約80年ぶりに立体涅槃群像を見に来たという同市の80代の女性は「小学生の頃に見たお釈迦様はもっと大きく見えた。懐かしくてありがたい気持ち」と感激していた。小林住職は「念に1度の開帳にたくさんの方にお参りいただけて感謝です」と話した。

同市語り部くらぶによる了法寺境内歴史案内も終日行われ、御朱印の授与、焼き菓子やハンドメード雑貨などが並ぶマルシェもあり、にぎわった。

立体涅槃群像の前で小林住職が経を唱えた

立体涅槃群像の前で小林住職が経を唱えた

関連記事

同じカテゴリのニュース一覧