医療法人宮本病院「ハートフル和み」 特集

安らぎの療養環境へ

 

一日でも早い社会復帰を目指して、質の高い医療・福祉サービスと安らぎの療養環境を提供する医療法人宮本病院。構想から約2年、このほど工事が完了した南館は「ハートフル和(なご)み」と名付けられた。「和歌山」と完成前に亡くなった理事長の母「和子さん」、それぞれの「和」の文字を生かし、心温まる環境を提供する。リハビリ機能を集約した新棟は1日に業務を開始している。

 

 

 


 

 

信頼される医療を提供

医療法人宮本病院 理事長・院長 宮本典亮

 

宮本病院は昭和30年12月、万葉集に詠まれた和歌の浦や片男波を望む秋葉山の麓に65床の精神科病院として誕生し、65年余りの歳月が経過しました。

この間に精神科医療は入院中心の医療から地域中心での医療へと変化し、当院も平成11年にはグループホームと共同住宅、デイケアを開設し、平成15年4月には地域活動支援センター「櫻」と多機能B型事業所「めばえ」を併設し、平成23年には精神科救急に対応すべく急性期治療病棟を擁する本館棟を建設し、地域ニーズに応えるべく職員一丸となって質の高い精神科医療と心安らぐ療養環境の提供に努力してまいりました。

このたび、新たな施設の建設に着手し完成の運びになりました。新たな施設は延べ床面積1734平方㍍の2階建て、1階部分には社会復帰のサポートを担うデイケア室(「デイケア虹」)を設置し、規則正しい生活習慣の維持や向上、対人交流や趣味の拡大など、さまざまな活動を行います。また作業療法室を移設し、新しい環境のもとで日常生活に向けたリハビリテーションを行い、患者さまの支援強化を図ります。いずれも広く明るく心地よい環境提供に注力いたしました。さらに訪問看護部の拠点を設置。メンバーも増員し、より多くの患者さまを訪問できる体制整備を行いました。これらを組み合わせることにより、患者さまが住み慣れた地域や自宅で過ごせるよう、お手伝いができたらと考えております。

2階部分には厨房を移設。今回新たな取り組みとしてクックチル方式を採用いたしました。クックチル方式とは加熱調理した料理を急速冷却し、チルド状態で保存。食事を提供する前に再加熱するというもので、3日間保存することが可能となります。この方式により厨房での作業は平準化され衛生管理が徹底できます。また災害時にも保存した料理を提供することができるため、防災面も考慮し、導入に至りました。当該設備については地域医療の一助となるものと考えており、引き続き信頼される医療提供に努めてまいります。

最後に宮本病院は今後も地域の皆さまに支えられつつ、患者さまの地域生活がより豊かなものとなるよう支援し、共に社会参加を目指していきたいと考えております。

 

 


 

「ハートフル和み」が本格始動

 

【1階】

デイケア虹 精神保健福祉士(PSW)が利用者の相談に応じて助言や指導をする。午前はカラオケや脳トレなどの自由活動、午後はスポーツや調理などの集団活動をメニューとし、日常生活に適応するために必要な訓練などを行う。医師や看護師らが連携して、社会復帰を目指す利用者を支えていく。

※利用は月~金曜日の一日6時間、もしくは午前か午後の各3時間。希望に応じて送迎(有料)も行っている。随時見学を受け付け。問い合わせは℡073・448・0576まで。

温かみのあるデイケア室

 

 

 

作業療法室 作業療法士(OT)が体や手を動かすなどの作業活動の指導を行う。編み物、カラオケやゲームなどの娯楽活動、書道をはじめ絵画や陶芸の文化活動などを実施。また、同棟西側には家庭菜園を設けており、収穫した野菜を同室内に設置されたキッチンで調理する。これらの作業により患者自身の活動性が高まり、協調性の向上などが期待できる。

広々とした作業療法室

 

 

 

訪問看護部 退院患者や通院患者の自宅を定期的に訪問し、日常生活などの支援を行う。

訪問看護部のスタッフの皆さん

 

 

 

【2階】

厨房 老朽化した本館棟西側の給食棟の厨房を同棟に移設。最新設備「クックチル」システムを導入した。加熱調理した料理を急速冷却し、チルド保存した料理を再加熱して必要時に提供するもので、味はもちろん品質の衛生管理の徹底と調理の効率化が実現。また、災害対策用としても活用できる備蓄可能な食品庫を備えており、1回300食を作る同法人の台所機能を発揮する。

最新設備を導入した厨房

 

 

 

職員食堂 毎年、4月ごろには秋葉山の桜並木が間近に広がり、景色を眺めながら出来たての料理が味わえる。

ゆったり過ごせる職員食堂

 

 

【専用通路で円滑に】
ハートフル和みは西館の1、2階と専用通路でつながっており、患者の移動や病室への食事の配膳がスムーズに行われる。この専用通路により西館につながっている本館棟や東館にも移動しやすくなる。

 

 

【チームで患者を支援】
同院では、医師を中心に、看護師、作業療法士、精神保健福祉士らの医療スタッフが「チーム医療」に取り組み、社会復帰促進に向け積極的に患者をサポートしていく。

 

 

 

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