海の民の歴史ひもとく 風土記の丘で特別展

和歌山市岩橋の県立紀伊風土記の丘で、紀州の海の民が活躍した歴史をひもとく、開館50周年記念秋期特別展「海に挑み、海にひらく―きのくに七千年の文化交流史―」が開かれている。12月5日まで。

海と共に生き、恵みや富を得るため漁労や製塩などをなりわいとしてきた紀伊半島沿岸に暮らす先人の歴史を紹介する。海外や日本列島各地との文化交流を示す資料や先進的な漁の技術を伝える漁具など、縄文時代から近代に至るまでの考古・民俗を中心とした文化財、計140件800点の資料(国指定文化財3件、県指定文化財4件、市町指定文化財6件、国登録文化財1件を含む)が並ぶ。

1日に同館で行われた開会式で、仁坂吉伸知事は「海を通して培われてきた和歌山の文化を発信したい」とあいさつ。その後行われた内覧会では、4年ぶりに里帰りした古墳時代の「家型𤭯(はそう)」(同市大同寺遺跡出土・東京国立博物館蔵)などを観覧した。𤭯とは、小型の壷などに注ぎ口を開けた土器。家の形をした𤭯は国内では他に例がなく、唯一の出土品。朝鮮半島南部に類例があることから、同時代の和歌山と海を越えた同半島との関わりを示す貴重な資料だという。

この他、約2000年前の鹿角製釣針や幕末から近代にかけて行われていた漁法の様子を描いた絵巻物なども展示している。

展示を担当した同館の萩野谷正宏主任学芸員(47)は「海が主要な交通手段だった時代は、紀州漁民が高度な技術を全国に伝えたり、町を開いたりしていた。和歌山にはそういった素晴らしい歴史があるということを感じていただきたい」と話していた。

午前9時から午後4時半(最終入館は4時)まで。月曜休館。入館料は一般360円、大学生220円。高校生以下、65歳以上は無料。

関連イベントとしてまで、11月21日午前10時から午後4時半、専門家を招いたシンポジウム「紀伊半島をめぐる海の道と文化交流」を開催。申し込みは29日午後1時から電話で受け付け開始、先着60人。

また10月10、17、24、31日、11月28日午後1時半から連続講座を開く。各先着30人。この他、特別展民俗芸能公演(11月14日)も予定。

申し込みや問い合わせは同館(℡073・471・6123)。

担当学芸員から説明を受ける仁坂知事㊨ら

担当学芸員から説明を受ける仁坂知事㊨ら

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