和歌山市長選 2候補の政策を比較

任期満了に伴う和歌山市長選は、届け出順に現職の尾花正啓候補(69)=自民、公明、立憲民主、国民民主推薦=、新人で前市議会議長の𠮷本昌純候補(65)の無所属2人が、市北部の安定給水対策、子育て支援、市経済の活性化などを主な争点に一騎打ちを繰り広げている。21日の投票日まで残すところ一日。両候補の主な政策を比較する。2人の政策には一見、共通している点も見受けられる。

【市北部の安定給水対策】昨年10月に六十谷水管橋が崩落し、市北部約6万世帯が1週間にわたり断水した事態を受け、2人はいずれも北部に新浄水場を建設すると訴えている。

市企業局の概算によると、新浄水場建設には約255億円が必要とされ、事業費の確保や水道料金への影響をどうするかが焦点だが、両候補から具体策は示されていない。

【子育て支援】𠮷本候補は、中学校給食の全校実施と小中学校給食の無償化、高校生までの医療費無償化、保育料第1子から無料の「3つのゼロ」を掲げる。このうち、中学校給食の全校実施とその無償化、高校生までの医療費無償化は尾花候補と共通している。

【中学校給食の実施方式】市民団体が自校方式での実施を要望し、両候補の見解は分かれている。尾花候補は、衛生管理や生徒数の変動への対応、事業費などを検討し、センター方式での実施を前提に取り組みを進めていると回答。𠮷本候補は、自校方式が子どもにとって最善との認識を示した上で、予算を見極めてセンター方式なども勘案して議論するとしている。

【経済政策】尾花候補は、市内企業の生産性向上のための支援制度拡充、学生の市内就職の促進、農水産物のブランド化、和歌山環状北道路や和歌山北インターチェンジのフル化(南方向出入り口設置)の推進など、𠮷本候補は、起業・創業サポート課の新設、空き家などを活用したインキュベーション(ふ化)オフィスの設置、融資制度の新設、リモートワークに特化したワーケーション候補地としての市内ベイエリアの環境整備などを訴えている。

【IR誘致】県議会での否決により頓挫した、IR(カジノを含む統合型リゾート)誘致問題も論点の一つ。𠮷本候補は、今後の再挑戦も含め将来にわたり誘致に反対を明言。反対運動に取り組んできた市民団体などの支援を受けている。一方で、誘致を推進してきた尾花候補は、計画はいったん白紙になったとの認識で、今回の選挙戦でIR問題を議論することはない。

選挙公報には、尾花候補が「市民の方々の声を大切に」、𠮷本候補が「市民の声を聞きます」と記し、いずれも市民目線の姿勢を強調する。有権者は両候補どちらの「声」を支持するのか。

尾花候補、𠮷本候補のポスター

尾花候補、𠮷本候補のポスター

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