小さな国益より地球社会に貢献を カンボジアで選挙制度改革支援

阪口 直人

 日本維新の会は7月31日に解党し、橋下徹大阪市長を中心とするグループと、次世代の党に分党しました。私が所属する「橋下グループ」は結いの党との合流を目指し政策議論の最終段階です。私たちが共有するのは、小さな国益、狭い愛国心よりも、地球社会の課題解決に貢献できる日本、尊敬される国としての日本を目指すことです。その意味では、平和への貢献、民主化支援などにより軸足を置いた貢献をすべきと考えています。それが結果的には日本の国益にもつながってくるからです。

 国会議員として私が長年取り組んでいるテーマのひとつはカンボジアにおける民主化支援です。私は1992~3年に国連の文民要員として国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)の選挙部門で勤務した経験があります。その後も多くの紛争地域で選挙の実施を含む平和構築に関わったこと、カンボジアにおいて計4回の国政選挙に技術アドバイザーや選挙監視要員として関わったこともあって、自由で公正な選挙の実施には特に力を入れてきました。その鍵は、選挙人登録において不正が起こる余地をなくすことと問題提起してきましたが、その点は一向に改善されず、昨年7月の総選挙後、選挙人名簿に不正があったとする野党が国会への登院をボイコット、国会が正常に機能しない状況が続いていました。

 そんな折、フン・セン首相から選挙制度改革支援の要請が日本政府に寄せられました。しかし、日本は「民主化支援」という大きなテーマへの関与には消極的で、基本的にはカンボジア側の要請に従って技術支援をするとの立場です。しかしこのままでは不正が起こり得る余地を残したまま「日本のお墨付きをもらった改革」となりかねません。

 そこでカンボジアの与野党指導者、また政府関係者に会い、特に選挙人登録の段階で不正が入る余地をなくす方法について意見交換することにしました。私の側からは日本の技術でIDカードを電子化することによって選挙のたびに問題になる有権者登録の不正を防ぎ、将来は社会サービス向上にも寄与できるシステム作りを提案しました。UNTACの時には自分自身が担当する村々をまわり、全員を面接して選挙人登録を行ったことなどの経験をもとに、IT技術とあわせて不正をなくす技術的方法について提案、説得をしました。カンボジア側の反応は良好でしたので、今後はこれらの提案を具現化できるよう、今後も日本、カンボジアの双方に働きかけていく予定です。

 今回は選挙制度改革を通してアジアの民主主義の在り方についてもたくさんの議論をしました。最近、中国の存在によって「民主主義でなくても経済発展できる」という考えが発展途上国にも広がってきています。欧米型の民主主義とせめぎ合う中で、アジア的な価値観や文化を踏まえた新しい民主主義の在り方を考え制度化していくのは日本の役割だと思います。

 民主主義が十分に機能せず物事が独裁的に決められる政権は中国との相性が抜群です。インフラ整備などは環境や人権への配慮を気にせずにスピーディーに安いコストでできるからです。しかし、国民の声がより反映される政治体制になれば、住民の声を反映した持続可能性の高い開発につながります。その際には日本の企業にとってのビジネスチャンスも大きくなるはずです。

 現在、日本維新の会の党内では、新党を結成するに際しての政策議論を続けています。私が担当をしているのは外交安全保障とエネルギー政策ですが、安倍政権のもとでは今は政治の大きな流れが短期的な国益や狭い愛国心の方向に向かっているように思えてなりません。あらゆる分野で既得権益にとらわれない持続可能な新しい方向性を打ち出すこと、それをより多くの野党連携にもつなげていくことを目標に議論と行動を続けていきます。

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