2030年の日本に誤りなき指針を 党PTで有識者ヒアリング

石田 真敏

 「日本創成会議」が先日「消滅する市町村523」との論文を発表し、全国に大きな衝撃を与えました。事務総長を務める党国家戦略本部で昨年末より勉強会を行っている「2030年の日本」検討・対策PTでも、論文をとりまとめた増田寛也氏(元岩手県知事、元総務相)に講師をお願いするなど、幅広い分野の有識者から精力的にヒアリングを重ねています。

 そもそもこのPTは、少子高齢化問題や技術革新など将来への「期待」と「不安」をどのように想定して政策を講じていくかとの視点から立ち上げました。たとえば自動車の全自動化は、高齢者も安心して利用できる移動手段であり、都市の渋滞解消にも寄与するなど、さまざまに生活を豊かにするものです。しかし一方で、運転手の職を奪いかねない、雇用不安の要素ともなります。

 将来予測はこのような禍福あざなえるものであり、正の側面を伸ばすとともに負の側面に備えるのが政治の役割であるだけに、これからの日本に期待される発展可能要件を取り込み、逆に将来不安となる制約要件を克服できる新しい日本のあり方、社会・経済システムのあり方を築こうというのがPTの狙いです。

 今後も「2030年の日本について認識の共有」を行うため有識者の講演を続け、7月を目途に中間報告を取りまとめるべく精力的に取り組んでいるところです。ここでは、これまでの有識者の講演から見えたことをご報告したいと思います。それは確実に起こる次の4つの変化です。

 (1)人口の変化
 日本の総人口は確実に減少し、この百年間で3千万人台という明治時代の水準に戻る可能性が推計されています。これは出産適齢時期の女性数が減少するためで、もはや人口減少は避けられません。また高齢者人口比率は2040年代にピークを迎え、約40%となる見込みです。

 (2)新たな技術の変化
 現在、従来とは次元の異なる新たな技術革新の時代を迎えています。たとえばバイオやナノ素材、通信・ネットワーク、ロボット・人工知能などの分野で、今までにない技術革新が起きています。さらに「千ドルのコンピューターの能力は2030年には千人分の脳に、2050年には全人類を合わせた脳の処理能力を超える」との指摘もあります。

 (3)環境・気象の変化
 地球温暖化は、現時点でCO2排出を止めたとしても確実に進行します。これに伴い海面上昇、洪水、食糧生産への影響など、気候変動によるさまざまな影響が出てくると考えられます。

 (4)時空の変化
 新たな通信・ネットワーク技術により遠隔医療や世界規模でのネット取引、ビッグデータの活用など時間と空間の距離が大幅に縮小されます。また測位衛星や光学・レーザー衛星、そして深海の微生物や鉱物資源、メタンハイドレートなど宇宙と海洋の利活用が進みます。さらに仮想政府やサイバー戦争、仮想通貨などバーチャル空間が本格的なものとなってきます。

 以上の四大変化は、私たちの生活や社会に大きな影響や効果をもたらすことが推測されます。

 そこでこの四大変化を踏まえ、成長戦略・雇用・社会保障・街づくり・エネルギー・食糧・教育などの各分野で、どのように対応していかなければならないのか議論が必要です。PTでは今後、テーマごとに分科会を設け、検討する予定となっています。

 そして、「2030年の日本」に向け、誤りなき指針を示せるよう頑張ってまいります。

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