「新平成」時代の社会・経済へ 新システムづくりの課題

石田 真敏

 平成25年度予算が成立し、 いよいよ補正予算、 税制、 本予算からなるアベノミクス第二の矢が放たれました。 金融緩和の第一の矢とともに所期の目的どおり的を射抜くことと思います。

 さらに6月に発表される第三の矢、 成長戦略にも大きな期待をしていますが、 成否は投資など民間の積極的な活動にかかっています。 安倍総理が 「3年間の集中投資促進期間」 と発言されたように、 当面のデフレ脱却、 景気回復を確実にしたいものです。

 ただ、 日本経済を長期的かつ本格的な成長軌道に乗せるには、 成熟社会・グローバル社会・IT社会・少子高齢化社会・地球環境時代などの大変化を前提とした、 新しい社会・経済システムづくりが必要です。

 現在は 「冷戦の崩壊」 に始まる第三の改革期で、 四半世紀を経過したところです。 「明治維新」 や 「戦後」 では、 四半世紀に及ぶ混乱期を経て、 明確な目標のもと新しい時代を形作ってきたことから、 今は混迷のときを過ぎた新しい時代の入り口と言えます。 現実に大きな変化を実感でき、 将来展望が可能になってきただけに、 従来のシステムでは対応できない課題を解決し、 「新平成」 時代に対応できる社会や経済のあり方を目指すときです。

 【取り組むべき課題】
 (1)意識の改革と共有
 今までの延長線上ではない新しい時代の始まりを国民共通の認識とするため、 明治の 「殖産興業・富国強兵」、 戦後の 「高度成長・所得倍増」 のような、 新平成時代が目指す日本の姿を政府は提示するべきです。

 (2)人生100年時代への対応
 長寿化する中での老後の生活設計や健康への不安の解消なくして、 本格的な内需の振興も成長もありません。 健康・経済的豊かさ・心の豊かさ・働き方など人生100年を前提とした新たな制度設計が必要です。

 (3)企業マインドの改革
 ①本社機能の地方移転
 待機児童や長時間通勤、 高い維持経費などの一方、 交通や通信が発達した現在、 東京に本社を置く必然性は低下しています。 日本全体の健全な発展、 従業員のゆとりある生活、 地方の人口や活力の維持、 行政投資の無駄を考えれば、 本社機能の一部移転は真剣に検討されるべきです。
 ②低価格競争の見直し
 政府から異例の賃金増額の要請がなされました。 異常な公共事業の低価格入札や季節前のバーゲンセールなど低価格競争も原因の一つです。 実際、 シェア重視の日本企業の利益率は世界的にも低く、 適正な価格・利潤・賃金を認める国民的な意識改革が必要です。
 ③非正規労働者、 外国人労働者問題
 非正規労働により低所得で職業的訓練も受けないままでは、 中高年期に生活困窮者となる可能性が高く、 移民2世が親の低所得により十分な教育を受けられなければ、 就職もかなわず治安悪化要因になることは欧州を見れば明らかです。 また、 ITなどの進歩で今後どのような雇用が確保できるのかなどを見極めることが必要です。
 ④長期的視点に立った経営
 短期利益を追い求める株式市場では、 長期的な視点の企業経営が難しいとの指摘があります。 老後の資産運用など安定した配当金目的の投資家もいることから、 長期投資を可能にする新証券市場を検討すべきです。

 (4)地方分権・道州制の推進
 地方分権は95年の推進法成立以来ずいぶん進めてきましたが、 現状ではこれ以上の大胆な地方分権は難しく、 一方で東京集中が止まりません。 そこで同床異夢の感も道州制について、 実りある議論をするための叩き台となる案を作り、 導入の適否を議論する環境を整えるべきです。

 詳しい主張はHPに掲載しておりますので、 ぜひご覧ください。

関連記事

同じカテゴリのニュース一覧

がんばってます

月別アーカイブ