再犯防止へ矯正施設の課題 党政調活動で市内2カ所を訪問

門 博文

会期が大幅に延長され9月末までとなった今国会ですが、安全保障関連法案は衆議院本会議での可決の後、現在参議院での審議が進められています。例年であれば7、8月、国会議員は一般的に地元を中心とした活動の時期となりますが、本年は大幅延長の結果、各委員会や本会議も断続的に開催されており例年と違う日々を送っています。所属する3つの委員会も8月に入って審議が続いています。国土交通委員会は去る3月に首相官邸に落下したドローンについての利活用や対策を講じる法案の審議が行われようとしています。法務委員会においては刑事訴訟法の一部を改正する法律案について約70時間に及ぶ審議が続き、去る5日採決が行われ7日には本会議にて修正可決されました。内閣から提出されている法案はこの後も数本あり今後も精力的に審議が行われる予定です。また東日本大震災復興特別委員会も一日も早い被災地の復興に向け去る8月6日にも熱心な質疑が行われました。このように今国会は大幅な会期の延長を受けて各委員会において鋭意審議がなされていますがさまざまな国難にあたってはこのような状況も私は当然であると思います。国会にそして国会議員に求められることは国のため、地域のためにいかにお役に立つか、働くかということだと思います。その点において与野党を問わず議員が夏やお盆を返上して働くことは大変有意義なことであると思います。

その中で私は自民党の政務調査会の活動の一環としてこのたび、和歌山市内の矯正施設2カ所を先輩議員であります石田真敏衆議院議員と一緒に見学し関係者から説明を受けてまいりました。これら矯正施設は罪を犯した人の再犯を防止するという点で大変重要な施設であります。皆さまもご存知のように和歌山市四箇郷地区には「和歌山刑務所」があります。ここは女子刑務所として運用されており昭和19年の開所から長い歴史をもっています。前面の国道24号線を通行していると目には入りますが、なかなかなじみの少ない施設です。存在は知っていても内容をあまり知る機会がありません。収容定員500名に対して現在約570名と大幅に定員を超える過剰収容になっているということでした。もちろん受刑者は女性ばかりですが収容者の高齢化、国際化が一つの課題であり、最高齢者は91歳、平均年齢50歳弱で介護や医療の問題が一般社会以上に大きな課題となっています。また受刑者の国籍も19カ国にのぼり想像外の現状がありました。

もう1カ所は市内太田にあります更生保護施設「端正会」に伺いました。更生保護施設をあまりご存知でない方もいらっしゃるかと思いますが、刑期を終え、または仮出所で矯正施設を出られた方が一時的に居住し仕事を探して働き社会復帰していくための拠点となる施設です。私も実際に伺うのは初めてでしたが、小西所長様以下職員の皆さまが熱心に入所者の社会復帰、再び犯罪を犯さないよう取り組んでいらっしゃる様子がよくわかりました。施設は随分と老朽化しておりましたが、近々建て替えの計画があり改善されるようです。また就職ということで出所者を雇い入れようと考えてくれている協力雇用主の存在も大切で、現状の課題など詳しく聞かせていただきました。

仕事を提供してくれる職場は少なく、また現状は働く側も長続きしない、そのような課題の中で携わっていらっしゃる皆さまはご苦労をされているようです。日常の中では「再犯防止」というテーマはあまり聞き慣れないものかもしれませんが、私はこの問題にもこれからも取り組んでまいりたいと思います。最澄の教えに「一隅を照らす」というものがあります。簡単に言うと「それぞれの立場で精一杯努力する人はみんな何者にも代えがたい大事な国の宝だ」という意味ですが、まさに今回の視察でこの言葉の意味を強く感じたところです。残暑厳しい折、皆さまお体大切にしてください。

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