「外国」とどう向き合うか 国家百年の計へ決断の時期

門 博文

 12月10日で臨時国会は閉会しました。9月に召集された今国会では本年度に発生した災害の復旧費を盛り込んだ補正予算が成立し被災地域の復旧に対して迅速な対応がなされました。また法案審査では特に外国人労働者の受け入れに関連して「入管法改正案」が審議され注目を集めました。法律は8日の未明に成立しましたが私も自由民主党法務部会の部会長代理として、また衆議院法務委員として党内での法案審査や委員会で質疑に参画しました。特に法務委員会では参考人への質疑を行い、中でもベトナムから多くの技能実習生を送り出している送り出し機関の社長さんから当事者としての貴重な意見を聴くことができました。この法案に関しては質疑や報道を通じて多くの問題点や課題が指摘されております。今回成立した法律では2年後の見直し規定も盛り込まれました。まさに刻々と変化していく情勢を見極めて都度々々、修正を加えていくという趣旨のもので大変有意義であると思います。
 この法案審査に携わり改めて思いましたのはわが国における「外国」問題という点です。いよいよ「鎖国」を解くということかもしれません。こういうと皆さんは不思議に思われるかもしれません。鎖国は江戸時代の終わりに終わっているのではないか、と。しかしよく考えてみれば例えば今回のこの労働力不足問題のようにわが国は外国人に積極的に働く場を開放してこなかった歴史があります。また近年、訪日外国人旅行客がものすごいスピードで増加していますがこれも今まではビザが必要ということで門戸を積極的に開放していませんでした。それを観光に限ってビザ不要で来日できる国をアジアを中心に増やしていった結果が今日の旅行客の増加につながっているところです。このように国としては当然の面がありますが鎖国は部分的にされてきています。
 また別の角度から「鎖国」について考えてみます。農作物の輸出です。これまで日本の農業はこの国の国土を使ってこの国の人たちで作物を作りそして出来上がったものをこの国の人たちで消費してきました。よく「農業国」といわれる国があります。あれは自国で生産した農作物を海外に輸出して成り立っている国のことです。フランスやオランダがそうです。ヨーロッパを中心に農作物を輸出しています。EUはまさに国と国との垣根が取り除かれ「鎖国」が存在していません。そう考えるとわが国の農業は閉ざされた国の内側にあったのだと思います。今後、いよいよこの垣根を取っ払っていくのかそれとも維持していくのか。この点も重要な課題です。
 改めて現在の日本の状況をみてみますと人口減少社会が到来し人口構成も高齢化が進行しています。その中で労働力不足、生産年齢人口の減少が懸念されます。これらの課題の解決策の一つとして外国人労働者の受け入れが今、議論されているところです。もちろん労働力不足については女性の活用や定年の延長、高齢者雇用など他にも対応できる点もあります。その上でこの外国人材の活用も非常に有効な選択と考えられています。
 また人口が減少することによって消費の規模や経済全体の規模が縮小していくことなども懸念されています。これらを少しでも外国人旅行客の皆さんの消費でカバーしていくなど今までの日本と違った発想や戦略でこの国を守り発展させていかなければなりません。2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。また2025年には大阪での万博が決定しました。この機に私たちはこれから「外国」とどう付き合うか、「外国人」とどう向き合っていくのかを改めて考えて決断していく時期を迎えているのだと思います。「国家百年の計」となるであろうこの点をぜひ、皆さまもお考えくださりご意見をお聞かせいただければ幸いです。
 本年もありがとうございました。

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