ウイズコロナ、ポストコロナの時代 ―勇気を持って一歩前に

岸本 周平

新型コロナウイルスの脅威に直面して早くも2年が経とうとしています。この間、この国の不都合な真実が次々と明らかになってきました。
国産ワクチンが開発できないような技術力の低下、デジタルトランスフォーメンションも遅れ、潜在成長率はほぼゼロになっています。生産性が低いので、賃金も上がりません。国連発表の2020年の一人当たり名目GDPは29位にまで落ちています。
原油をはじめ資源価格の上昇に加え、円安のため輸入物価が上昇して国民生活に悪影響が出始めています。
その一方で、与野党ともに財源の問題から目を背け、一回限りのバラマキ中心の経済対策を続けています。コロナ禍で本当に困っている人には救済の手を差し伸べるべきです。
その上で、経済の立て直しのためには過度な政府依存を止めて、民間企業が自らの力でイノベーションを起こすしかありません。
政府の仕事は、教育による人材育成や起業家支援の枠組み作りです。「魚を与えるのではなく、釣り竿を与え、釣り方を教える」ことに徹すべきです。
今流行りの現代貨幣理論(MMT)によれば、このまま円建ての借金を増やしても日銀が買い取りますから問題ありません。いずれインフレになりますが、その時になってから増税すればよいという理論です。
理屈はそうですが、そう簡単に増税はできません。
危機の時には仕方がありませんが、危機が収まれば少しずつでも財政の健全化を目指すのが常識です。東日本大震災の時の復興予算の財源は、一世代25年間の所得税の増税等でまかなうことを決めました。
今こそ、勇気を持って一歩前に踏み出し、孫や子どもにツケを回すような政治を改める時です。

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