“現場力”を政治の力に 地方の切り捨ては許さない

大江 康弘

 もう5年前になるが、 二階会長からこのコーナーに原稿を載せてみないかとの、 ありがたいお誘いをいただき、 少しでも自分の思いや考えが読者の皆さんに伝われば、 これほど政治家冥利なことはないとの思いで、 二階会長の温かいご配慮に感謝しながら参加させていただき、 毎回、 書く度に己の身の程や浅学菲才を認識させられ、 恥ずかしい思いを感じながら今日まで参加させていただいてきたが、 とりあえず今回が今の現職としての任期最後の投稿になると思う。

 いずれまた、 国会議員として引き続き参加をお許しいただければ幸甚であるが、 節目として今回が最後の稿になるのでご理解をいただき、 少しだけ意見を述べてみたい。

 今、 第3極といわれる政党が、 都会や都市の論理でわれわれの地方や田舎を全く顧みない政治を進めようとしていることに対し、 憤りを覚える一人である。

 世界の最先端の技術、 科学文明の恩恵を受けて、 日々生活をしている東京や大阪の人々には、 一体誰のおかげで誰の犠牲のもと毎日の生活ができているのかという認識や視点は全く持ち合わせていないように思われる。

 日本の繁栄を多くの苦労や努力、 犠牲の中で根底から支え続けてきたのは、 まぎれもなく田舎、 地方に住む人々であり、 そこから生産されるさまざまな資源である。

 現在それら地方は限界集落や過疎を抱え、 いつ地域が消滅してもおかしくない危機的状況を迎えている。

 そんな中、 衆議院議員定数の 「0増5減」 はさらに地方の衰退に拍車をかける司法の判決であり、 一票の格差を2倍以内におさえよとのことだが、 この一票の格差を言いつのる都会の住民は、 選挙があっても5人に1人もいかない投票率であり、 何が貴重な一票か!と言いたい。

 ひるがえってわが地方は選挙の度に6、 7割、 さらに地方に行けば9割にも達する投票率の高さであり、 その数字の高さは、 そこに住む人々の日々の生活が政治行政と切っても切り離せない現状を物語っている。

 それを人口比だけで地方や田舎の声を閉ざしていこうという流れには断固として戦っていかねば、 ますます、 われわれの声は政治に反映されていかない。

 また、 道州制にしても、 さも次の時代の行政単位として、 きめ細やかに地方の生活レベルを上げていくかのような議論が長年続けられてきたが、 安易な導入には断固反対である。 地方のそのまた地方の人々がしっかりとその地域を守っていけるような、 まず、 地方の形をしっかり整えないかぎり、 都市、 都会の論理の延長であり、 地方の切り捨てに他ならないからだ。

 しかも今夏の参院選からネット選挙が始まるが、 私はもともとアナログ人間であり、 顔や姿も見えない人たちと政治を語ることには大いに不安を感じる。

 政治家自らが現場に出向き、 顔と顔を合わせ、 地域と触れ合ってこそ住民の皆さんが政治に何を求めているのかを身体で感じ取ることができる。

 私が 「現場力を政治に」 というのはまさにここにあって、 現場では机上の計画や方向とは全く違うことが起こっており、 それを政治の力で変えていくことこそが住民の皆さんの求めている本当の答えであると思っている。

 34年間、 国政、 県政を通じ現場で感じてきたことをさらに、 これからもふるさとの皆さんの思いを少しでも政治の場で生かせることができたらとの強い決意をしっかり持って、 許されるならばまた、 この紙面で皆さんとお会いできることを目標に頑張ってまいりたいと思っている。

 長い間、 読んでいただき本当にありがとうございました。

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